2番でいいという目標はあり得ない
古いテーマで恐縮。「次世代スーパーコンピュータ開発予算」の事業仕切りで、”2位じゃだめなんですか”と言われ、一時予算凍結になった件、各方面からの意見がすでにたくさんあるから、いまさら私ごときが、言うのもなんであるが、気になっていた論点を吐き出してみよう。
このやり取りでは、攻める側も守る側も、本質的な論点を外しているように見えるのだ。
1.”1位になることが目標”が間違い
1位を目指すことは、技術的な目標でありえても、1位でなくなったとたんに、その価値が下がるわけではない。本質的には、最速のスーパーコンピュータなしでは、遂行不可能な計算科学という分野があることを、世の中に示すべきではなかったか。世の中に役に立つ最先端技術なのである。
守る側のこの回答により、順位が最重要の目標であるかのような印象を与えてしまい、”2位じゃだめなんですか”との攻め言葉を生んでしまった。これによって論点がずれることになった。
その後、1位になれる期間が数カ月しかないから意味がない、予算削れという、おかしな反論を多数招くことにもなってしまった。議論が益々違う方向に発散していったのは、最初のこの躓きが大きい。
2.”2位じゃだめなんですか”の筋違い
ディベート技術としては、相手の”1位になることが目標”の逆手を取った、ヒットに違いない。論理はよしだが、実際に考えると筋違いの反論だ。
競争では、1番になりたいと思って努力して、その結果として2番になることはあるかもしれないが、最初から2番でいいと思って戦う人はいない。そういう戦い方を仮にしたとしたら、結果として2番にも3番さえもなれないだろう。
無駄な予算をあぶり出したいという気持ちは分かるが、2位を目標にすれば、予算が下げられるというのは、技術競争のことを理解しない筋違いの議論だ。ディベートで勝つ為だけの無意味な反論だと私は思う。こういう勝ち負けのためだけの議論は嫌いだ。
だから、攻めるも守るも、本質的な議論をせず、両方失点しているというのが私の見立て。
もう一つの大事な効用を示そう。「最先端技術」はすそ野が広い。山が高ければ、すそ野が広いのと同じだ。最先端技術は、コア技術だけを研究開発すればいいのではなく、コア技術を支える、基礎技術、様々な周辺技術を必要とする。すそ野なしで、頂上はできない。
アポロ・プロジェクトやスペースシャトルのプロジェクトなどで、新しい技術が開発され広範に民生適用されているのは、有名な話。コンピュータも、今のPCで使われている技術も元はといえば、10年以上前のスーパーコンピュータ技術をベースとしている。
技術が進むには、常に先端に引っ張り上げようとするテンションを必要だ。目標として性能1位とか、発見1位を掲げるのは、健全なテンションになるのだ。議論の勝ち負けではなく、予算の必要性をもっと本質的に議論して欲しい。
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今日の1枚
2010/3/12
小京都と呼ばれる昔風情の町が全国にはたくさんある。夕方薄暗くなってそろそろ帰ろうかとのんびり歩いていたら、あちこちの民家の玄関に明かりが付きだした。 - Ricoh GX100 -
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