脳炎にかかっていたシママロ

「ネムネム」が亡くなってからは、何かにつけ思い出してしまうので、シマリスはもう飼えないという心境だった。しかし、翌年の3月後半になり、気になってついペットショップを覗いてみると、元気な子リスたちがケージのなかで、十数匹跳ねまわっていた。やはり、かわいいという気持ちが自然に湧く。


しばらく観察していたら、一匹体がよたよたして頼りなさそうな子リスから目が離せなくなった。他の子は元気いっぱいだが、その子だけ脇で、しょぼしょぼと餌を食べていた。


家に帰って、家族にそのことを話し、悲しんでいるよりも、シマリスを飼って元気をもらおうか、という気持ちにしだいになってくる。翌日行くと妻も、頼りなげな子リスから目を離せないという。自然とこの子を飼ってあげたいと気持ちになったのだった。


「ネムネム」が元気なリスだったから、同じようなリスを避けて、「ネムネム」の替わりに飼うのではないという意識が働いたことは確かだ。その子が、今飼っている「シママロ」。通称、マロ子、もしくはマロちゃん。オスだけれど、マロ子という雰囲気なので。


その後が、しかし、お騒がせの連続だった。無茶苦茶手が掛ったのだ。家に来て数日後、よたよたして、不安定な立ち方をしているのを観察していると、だんだん傾きがひどくなってきて、いつも右側に傾きそうになって踏ん張れないでいるようだった。


どうも、単なる育ち不足とか個性ではなく、右足を怪我しているか、体をまっすぐに保てない病気のように見えてきた。傾きぐあいがひどくなってきた日、かなり不安になってきたので、リスを見てくれる動物病院を探しておこうということになった。幸運なことに、小動物を専門に見る獣医さんが、車で10分のところにあった。


動物病院を見つけて数時間後に、シママロが、立てなくなり、右側を下にして、くるくると床を回り始めたではないか。これは、もはや緊急事態なので、即病院で診てもらったところ、子リスがかかりやすい、風邪からくる脳炎を発症していたということが分かった。


注射&投薬をおこなったけれど、子リスは体力がないから、手遅れの可能性があるともはっきりといわれた。脳にどの程度影響が残るかしだいで、完治は無理で、高いところを跳び回れなかったり、着地失敗で怪我をするかもしれないとも言われた。なにはともあれ、1−2日様子を見ないといけないということで、その夜は、妻が夜を徹して看病した。


翌日以降、傾きはあるものの、立てるところまで回復し、餌を食べれるまでになった。なんとか、脳炎脱出!一時は最悪を覚悟したので、本当にうれしかった。右に傾く癖は、残ったものの、かえって個性あるかわいいしぐさになっていた。数ヶ月後には、傾きも消え、バク天をするまでになったのだった。


ペットショップにいたときから病気になっていたはずだから、家で飼わなかったら十中八九ペットショップで死んでいた子だった。だから、「ネムネム」が遣わして、マロ子がショップで死なないように家に来るようにしたのだと、家族で思うことにした。その分助けてあげられたことが本当にうれしかった。ところが、まだまだ、マロ子のお騒がせ出来事は続くのです。 - To be continued -

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                             今日の1枚
2010/3/14
シママロの一番好きなポートレート写真。梨を食べているところ。体が右に傾いているのがわかるだろうか。脳炎の後遺症なのだけれど、きしくも、ポーズを取ったようにかわいく映っている。(飼い主バカです。)

- EOS 20D -
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