生活の「心地よさ」をめざす全体最適的価値


最近、「心地よさ」という言葉がとても気になっている。誰でも好きな普通の言葉だろうけれど、特に、この1−2年、自分の中に蠢き出したいろいろな事柄の中心に、心地よさを追い求めているということがあるように思えるのだ。


なぜこの1−2年かと言えば、「精神的な成仏への道−平たく言えば、やりたいこと」のところで書いたように、50代になって人生の価値観が仕事オンリーではなくなってきたことにあるだろう。ただ、それは坂道の傾斜が変わってきたというような背景であって、動きが始まるきっかけ的なことといえば、昨年からブログを始めたり、Twittwerでつぶやき始めたり、TumblrFlickrで好きな写真を集めたり、いろいろな発信手段を持ち始めたことがあるだろう。今までやらなかった能動的なことが刺激になり、自分は何をしたいのか、ということを知らず知らずのうちに意識しだしてきたということがあるにちがいない。


たとえば、Tumblrは、とても便利な写真収集ツール。自分が集めてきた写真、イコール、自分が行きたくなるような街や自然風景。建築写真も、自分が住むとしたらという思いがあるわけだし。意識してなくても沢山集めると、結果として私が理想とする風景、街や建物が浮かび上がってくるのだろう。だからといって、そういう場所を探したりして家を建てたいという夢があるわけではないのだけれど、自分が好む空間の表現という視点で考えると、また面白い方向が見えてくるのだ。


写真を例にとったけれども、他にも自分が最近やっていることや興味のあることが、どこかに向かおうとしている気配があって、どうも、その向かう先あるいは渦の中心のようなところを表現すると、「心地よさ」がいちばん近い。



個人的な事情とは別の理由。ここからは突然飛躍するように見えるかもしれないが、価値観の変遷について考えてみよう。世の中の価値観はこれから大きく変わろうとしているのは、誰でも気づいている。日本という国は、行動経済成長を経て、失われた20年を経験し、これからは、少子化や中国などの台等、政治低迷により、従来価値観でいえば日本の国力は衰退期に移行していくだろう。個人の生活の幸福度は、会社、役職、給料、住宅、車、旅行など主にお金や地位に関わるものが主であったけれども、これからは、会社の将来成長は見えない、昇進も保証されず、給料も増えず、住宅もそこそこ、都心住まいには車は不要、旅行はLCCでたまに、という状況では、旧来価値観では、幸福度は下がりっぱなしということになってしまう。


成長と金という縛りから解放されて、これからは、いろいろな新しい価値観が出てくるだろう。エコロジーや持続に象徴されるような新しい価値感もあるだろうが、原点帰りの動きも出てくるはず。「心地よさ」という指標が、その一つになってもいいのかな、と考えている。心地よさといっても、感覚的な・抽象的な表現だし、人・時間・空間、....千差万別の状況が考えられる。



もっと、跳んだことを言うと、成長と金を目的とする部分最適的な世界から、幸福度を幅広い複合的な指標で考える「心地よさ」を目的とする、全体最適(適正)的世界に、移行しなくてはいけないんじゃないか、というようなことが、最近もや〜っと頭の中に渦巻き出している。この価値観の転換が成功すると例えば、住み心地がいい国は、国の魅力が増すということだから、日本が本来もっているユニークな文化と合わせ、優れた観光国に転換するというようなことも夢ではないかもしれない。


そういうようなことを、自分でも人にもわかるように説明するために、「心地よさ」を実際のモノ・コト・状況で、表現できたらいいな、という妄想じみたことを考え始めているのだ。


とてもわかりやすい具体例を一つ。グーグルで、”空家再生”と入れて検索してみよう。すると、「尾道空き家再生プロジェクト」というのが一番最初に出てくる。空き家になったままの家が放置されているという負の状況を、再生プロジェクトで空家を再活用しゼロにもどすだけでなく、観光客誘致にも貢献しているというプラス効果まで出ている尾道の話。最近とても有名になって、いろんな街に同じような活動が飛び火しているらしい。街としての「心地よさ」の見直し活動という見方もできると思うのだ。



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