長谷川潔展、一人の芸術家の一生の仕事を一回の展示会で観れる不思議と感謝

横浜美術館生誕120年記念 長谷川潔展」を観てきた。
以前図録で見たことがあるだけで、実物は初めて。あまりにも全部素晴らしかったので、何も語れない。一つ一つの作品たちが濃い。
版画の場合、表現と技法が密接に結びついていることが、特によくわかる。木版、銅板、ドライポイント、エッチング、メゾチント(マニエール・ノワール)、...
一人の芸術家の一生の仕事を、一回の展示会で観れてしまっていいんだろうか、という思いがよぎるのはなぜ?他の芸術家の作品たちだって皆そうなのに、なぜか、長谷川潔の今回の展示会で、そう思ってしまった不思議。


シンプルで太く、優美な線で描かれた女性の体。


フランス語訳版竹取物語の、繊細な挿絵たち。日本の作家の本の表紙。


窓の光景たち。


レース文様の再現、それに彩色したセンス。


さりげない文様を描いたクリスマスカードや招待状の挿絵。


硝子のコップか小さな花瓶に挿された野花や草のなんと生き生きしていることか。


エッチングの銅原版の繊細さ。


やっぱり、マニエール・ノワールで描かれた草花、鳥、狐と葡萄、魚、静物。
いやあ、ほんとに全部よかったなぁ。



今回の展示は、プーシキン美術館展が急遽中止になった代理企画なので、図版はとくに作成されていない。代わりに、京都国立近代美術館で2003年に開催されたと木の作品集と、作品のひみつという2冊の本がたくさん販売されていました。


長谷川潔作品集―京都国立近代美術館所蔵

長谷川潔作品集―京都国立近代美術館所蔵



銅版画家長谷川潔 作品のひみつ

銅版画家長谷川潔 作品のひみつ



絵のコピーはできないので、グーグル検索のアドレスだけ載せておこう。長谷川潔作品の画像は、こちらで見れます。


そうだ、おみやげを買った話をしなくては。ミュージアムショップで掘り出し物を探すのは、毎回楽しいものだけれど、今回はウィスキーのショットグラスにぴったりのものを見つけた。(正確には、妻に教えられたのだけれど。)三つ足で、手作業作品なので曲線が微妙にアンバランスなところがいい。家でさっそく、リンゴ酢ジュースとウィスキーを入れてみた。






大きさが私の好みにぴったり。いい買い物でした。