東山魁夷の「道」で思い出したことなど

ー2012年5月にFacebookに書いた記事の転載ー

 

極上美の饗宴「希望へ続く道~東山魁夷の東北~」を見ました。

http://pid.nhk.or.jp/pid04/ProgramIntro/Show.do?pkey=001-20120501-10-06790

 

東山魁夷の有名な「道」の題材になった場所、八戸市種差海岸にある牧場に通じる道は、私の実家のすぐ近くで、家から海岸に出れる近道だったところです。子供の頃よく歩きました。その道が、あの絵の題材だったことを知ったとき、芸術家は、日常の何気ない風景にしか見えない場所を、こんな風に解釈し表現するのかという、芸術家の感性の秘密を覗いたように感じたのでした。見えないものが見えるんだなあという羨ましさも覚えたものです。

 

自分がよく知っている日常風景だからこそ、慣れ親しんでしまって、時間が経って懐かしいという想いを起こさせはするものの、感動や感性を揺さぶる何かを与えてはくれない。ところが、非日常であれば、誰しも感性が敏感になり、思いもよらぬ感覚や気づきを与えてくれることを自分でも体験するようになり、日常と非日常をつよく意識するようになりました。そのことを再度意識させ考えさせてくれたのが、たまたま故郷を題材にした「道」という絵でした。

 

自分が、知らない場所を歩くのが理屈抜きで大好きな理由がわかったような気がして嬉しくなったものです。街中の左右の路地、初めて訪れる都市の街路、川筋の向こう、峠のかなた、森の奥に消える道、いつもその先には何があるだろうと、不安よりも期待と待ち遠しさの方が先に立つのです。

 

まだ、全部見ていないので、後でゆっくり見ようと思います。