起2:つなぎの不思議と効用

前に、「起:"つなぐ"であふれる世の中と、つながれていない「設計技術IT」の不思議」という記事を書いた。続きの「承」をすぐに書くつもりだったのに、ずるずると日にちだけたってしまって、今日、駅から家まで歩いている間に、「つなぐ」ことにまた、立ち返ってみた。


「つなぐ」ことは人間の世界では当たり前のこと。人間は一人では生きられない。コミュニティーの最小単位は家族。コミュニティーという言葉は、双方向のつなぎのこと。「友達」は、個人的なコミュニティー。会社は仕事のコミュニティー。


友達の友達を紹介し合う、P2P的なしくみを前提とすれば、平均して6段階のつながりで、誰でも、米国の大統領とつながりをもつことができるという実証実験は有名だ。今では、Twitterを使えば、ロジカルには誰でも、オバマ大統領とつながる。



私が語りたいのは、しかし人間のつながりのことではない。技術のつながりだ。人間は本能的につながりたいという意図、もしくは、本能をもっているから、いいとして、技術は人間が指示しない限りは、つながりをもつことはない。ビジネスの世界で、囲い込むということばがある。他の技術とのインタフェース(つなぎ)を拒否して、独立独歩で築いていくというポリシーだ。



しかし、成熟した技術が多数存在する今では、インタフェースなしで生きていくのは、自殺行為に等しい。たいがいのソフトウエアは、APIとか、マクロとか、テキストとか、COMとか、なんらかのインタフェースを持つことで、他からつなげられる、他につなぐということを行っている。でも、革新的な出来事を引き起こすにはそれだけでは不十分だ。


想像力を発揮した「つながり」を発見することで、実は、1+1=3どころか、1+1=10や100の効果をあられるところが、たくさんあるんだ、ということを、歩きながら考えた。仕事の話だから具体的には言えないけれど、こういうところが、実は面白い”発見”。端的にいえば、普通は気づかないことに、どうすれば気づくかということだけで、気づいてしまえば、技術的にはそれほど難しくはない。イノベーション(革新)の大半はそういうところにあるような気がする。


もう少し書いてしまおう。(誰でもすごいと思う)尖がった技術で”革新的な成果”を出すのは当たり前。世の中の大半の研究開発は、この尖がった要素技術の開発に邁進している。ニュースになるのも、そういうネタばかりだ。そういうところには、優秀な技術者がわんさかと投入されるし、追い越し追い越せの技術開発だから、消耗する。勝者は一人だけで、残りは敗者。つらい世界だ。


私が指摘したいのは、成熟した、あるいは通常の技術だけれど、その組み合わせ(つなぎ)と使い方だけで、十分に、”革新的な成果”を出せるところがたくさん隠れているということ。じつは、そこの勘所を理解して、実践しているところが、ビジネス的には”儲かる”のではないか。ニュースとして目立たないし、当事者だってノウハウの塊であるそういう情報をわざわざ出すわけがないから、世の中的には実態は不明なままだろう。



”つなぎ”のそういう力に、益々興味が湧いてきている。表に見える要素技術だけに着目するのは、芸がない。例えば、ゲノム解読のように、物量と金を投入した国に簡単に負けてしまうのは自明だったのではないか。であれば、他からは分かりにくい、“つなぎ”の技術に着目するのが、潜在的にはとても得策だと思う。



具体的な話しで説明したいところだけれど、いつも、時間がない。私の話は抽象的だから説得力にかけるとは、いつも言われていることなんだが、それなりにアルコールを入れて夜中に帰ってきて書けるのは、そろそろこれぐらいか。


もてる男は、決して2枚目ではなく、こまめにコミュニケーションを取る男だというのは、よく聞く話(わたしじゃないよ)。というのは、飛躍し過ぎていますか?



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